市民防御術講習会。紛災(Conflict-Induced Disaster)における市民の安全を確保するために設計された総合防御講習です。
護身・拘束・防衛の三領域を体系化し、市民が「正しく守り、正しく止め、正しく離脱する」ための行動知識を習得します。

1:コース概要(Overview)
TDACは、紛災時の近接トラブルに対応するための市民防御術を学ぶ講習です。
“攻撃する技術”ではなく、市民が安全に行動し続けるための防御技術を中心に構成しています。
扱う領域は、次の三つです。
- 護身術(個人の安全確保)
- 逮捕術・拘束術(バディでの制止)
- 防衛術(バディで場を守る)

2:なぜ防御術教育が必要なのか(Context & Rationale)
日本社会は「暴力を前提としない文化」で運営されています。
しかし、紛災は外国型の攻撃・暴力構造で発生するため、日本人が日常で想定している安全の前提が崩れます。
日本の弱点
- 暴力に触れた経験がほとんどない
- 接触された瞬間に固まり、判断できなくなる
- 力の方向・距離管理・連携行動に不慣れ
- 相手を傷つけずに制止する方法を知らない
TDACの目的
防御術は「戦うため」ではなく、
恐怖で固まることを防ぎ、行動不能に陥らないための教育です。
- 暴力・接触に対する身体反応をコントロールする
- 相手と自分の安全を両立させる行動を選択できる
- バディと連携し、場を整える視点を持つ
3:国内教練(Fundamental Movement Training)
基礎段階では、暴力や接触に対する身体反応を調整し、
紛災に特有の状況に対応するための動作を学びます。
主な訓練内容
- スタンス・視線・距離管理
- 押圧・掴みに対する初期対応
- 転倒しない姿勢保持
- 力の流れを見る感覚
- 離脱・制止・通報の判断基準
基礎教練の目的は、
「固まる反射」を軽減し、行動可能性を確保することです。

4:クラス別応用フェーズ(Class 1–3)
TDACは、基礎教練の上に三つのクラスを段階的に積み上げる構成です。
Class 1から順に受講し、段階的に防御能力を高めていきます。
Class 1:護身術(Self-Protection)
※個人向け
自分自身の安全確保を目的とした個人フェーズです。
- 掴まれた腕の振りほどき
- 押圧からの体勢回復
- 距離の再確保
- 背後接触への初期対応
- 安全退避の判断
「逃げられる身体操作」を中心に扱います。
Class 2:逮捕術・拘束術(Restraint & Control)
※バディ制
必ず2名以上のバディ制で行うフェーズです。
- 二人で行う安全な立位拘束
- 手首・肘・肩を利用した最小限の制限
- 転倒させずに動きを止める技法
- バディ間の合図と役割分担
- 適法性(正当防衛・緊急避難)にもとづく行動基準
個人では不可能な「安全な制止行動」を学びます。
Class 3:防衛術(Defense Operations)
※バディ制
混乱環境や複数対象を想定した高度フェーズです。こちらも必ずバディ制で実施します。
- 複数対象への対応
- 侵入者の押し返し・封鎖
- 群衆の中での導線確保
- 仲間との連携による防衛行動
- 第三者保護の優先順位判断
「場の安全を維持する」市民防衛の最終段階です。
5:受講条件・実施要項(Requirements)
対象・服装
- 対象者:一般社会人、経験不問
- 服装:動きやすい服装、タオル、飲料
クラス構成
- Class 1 → Class 2 → Class 3 の段階制
- 各クラスは少人数制で実施
開催形式・申し込み
- 開催形式:ワークショップ/段階式コース
- 安全規約:CPI安全基準に準拠
- 申し込み方法:CPI Academyページより受付
6:指導協力団体(Partnership & Supervision)
TDACは、以下の専門団体の協力のもと、
実践性と安全性を両立したカリキュラムとして編成されています。
アーバンシラット協会(Urban Silat Association)
都市型シラットに基づく近接防御技法を監修。
「最小限で最大効果」という防御哲学を共有し、TDACの基礎操作体系の根幹を構築しています。
廣戸道場(Hiroto Dōjō)
身体運用・体軸操作・力の方向性に関する理論を提供。
紛災時の非力な市民でも再現可能な「安全な身体操作」の指導体系を支えています。
両団体からの技術監修により、TDACは
「市民が学ぶべき最適な防御技術」として高い再現性と安全性を備えています。

