はじめに

総合保安研究会(CPI)は、机上の理論だけではなく、現場における実証を通じた検証・改善のサイクルを重視しています。これによって、理論が「使えるモデル」へと進化し、社会実装可能な知識体系として確立されます。

本ページでは、CPIが取り組む「研究・実証・教育」の三本柱のうち、特に実証・研究に焦点を当て、そのプロセス・テーマ・成果物を詳しくご紹介します。

検証プロセス│CPIモデル誕生の流れ

CPIモデルの形成には以下のようなステップが存在します

  1. 理論設計(Institute)

    市民防衛・秩序空白期対応という前提に基づき、民間資源・構成体制・行動モデルを理論化。
    多様なシナリオを想定し、文献、過去事例、模擬演習を通じて初期設計を行います。

  2. 現地実証(SOC)

    国内・国外を問わず、実環境を想定した訓練・演習・模擬対応を実施。
    通信遮断・行政機能停止・物資途絶といった想定下で、「市民主体の構え」が如何に機能するかを検証。

  3. フィードバックと改良

    実証で得られたデータを元に、理論設計を改訂・洗練化。
    新たな知見を教育プログラムやハンドブックに反映します。

  4. 教育実装(Academy)

    洗練されたモデルをCPI Academyで講習・訓練プログラムとして提供。
    受講者が地域での再教育・実践が可能となるよう、運用マニュアル・教材群も整備。

このように、研究→実証→教育という循環型モデルによって、


CPIは理論と実践のギャップを埋めることを目指しています。

主な研究・実験テーマ

以下は、CPIが現在進行中または完了した代表的な研究・実験テーマです。

CID研究論文(Conflict-Induced Disaster Studies)

CPIは設立当初より、紛争由来生活断絶現象=CIDを「紛災」と名付け、主要研究課題として扱い、これを国際的に通用する概念として体系化してきました。CIDは災害とも戦争とも異なる境界領域に位置し、停電・通信障害・物流麻痺・情報攪乱など、市民生活を直接破壊する現象群を指します。その分析は『行動する知』の基礎理論となり、現在も実地検証(SOC)と教育体系(Academy)の中核に位置づけられています。

CSAP研究論文(Child Safety Action Protocol)

CSAP研究は、紛災下で市民が最終的に守るべき財産は「将来ある子ども」であるという前提に立ち、幼児が危機時に動けなくなる構造を再定義するものです。恐怖による行動不能を姿勢誘導や模倣反応で再起動させるプロトコルを体系化し、同時に大人も紛災時には幼児と同様の思考体系に陥ることを示します。これにより、CSAPはこども防衛を基点に、市民全体の行動不全を改善する根源的な市民防衛プロトコルとして位置づけられています。

COMCAM研究論文(Combat Camera Action Protocol)

COMCAM研究は、紛災時に治安維持権限が民間へ付与されない状況を前提に、市民が自制心と尊厳を保ちながら行動するための認知―倫理モデルを構築します。行動者が「自身の行動が後世へ記録される」という意識を持つことが、正しい判断の主要な動機となる点を重視し、混乱下でも暴走や無力化を避ける行動基準を提示します。これにより、市民が制度遅滞時にも秩序を維持できる思考枠組みとして位置づけられています。

日本版ROTC必要性研究(Civil ROTC Study)

日本版ROTC必要性研究は、徴兵制度を持たない日本社会において、市民が危機時に必要とされる「従う・守る・必要であれば戦う」という基礎的な安全保障理解がどの程度欠落しているのかを再定義するものです。徴兵制度が社会にもたらす副次的効果として、行政指示への合理的な協力姿勢や、国家安全政策への最低限の理解が形成される点に着目し、その不在が紛災下でいかなる行動不全を生むのかを検証します。本研究は、日本社会における市民の安全保障リテラシーの空白を明らかにし、民間主導のROTC型教育が必要とされる条件を評価する研究として位置づけられています。

都市型紛争における物資輸送と拠点設営の即応性

多層交通・狭隘空間・市街地構造において、市民組織が迅速に物資を確保・分配・拠点構築できる実証訓練を実施。

平時訓練による市民の心理的“構え”形成

危機が発生する前から「市民防衛意識」「構えの習慣化」を育てる教育介入を通じた長期的研究。

ドローン利用による視察・連絡手段の確立

通信インフラが断たれた状況下で、無線・ドローン・ローカル端末を活用した“代替網”の構築実験。

災害+秩序崩壊複合シナリオ対応

自然災害が引き金となる社会秩序の混乱を想定し、市民がどう対応できるかを多角的に検証。

公開成果物・アクセス案内

  • 研究・実証レポート
    各実験の前提条件、進行経過、検証データおよび改善点を収録。
  • 教材・ハンドブック
    CPIモデルの理論・実践をまとめたテキスト、映像教材、スライド資料。
  • 学術論文・講演資料・出版物
    国内外の学会発表・ポリシー提言・専門誌掲載を通じて知見を発信。
  • デジタルアーカイブ
    会員向けに過去の実証事例、写真・動画・ダウンロード資料を専用ポータルにて提供。

※一部の成果物は機密性・著作権保護の観点から、会員限定アクセスとなる場合があります。詳細は「加入・参加方法」ページをご参照ください。