戦術無線通信講習会。紛災(CID)や大規模障害発生時に、市民が確実に情報を伝達し、
チームとして行動を維持するための「戦術無線通信スキル」を習得する講習です。

無線機とヘッドセット、メモ帳など戦術無線通信装備のイメージ
無線機の基礎操作から戦術環境での通信手順までを、段階的に学びます。

1:コース概要(Overview)

TRCCは、紛災時に必須となる「確実に伝える・確実に受け取る」ための
無線通信技術と戦術会話手順を総合的に学ぶ講習会です。

国内では災害時の通信断絶が常に大きな課題となりますが、紛災時にはさらに
敵対的環境・混乱・偽情報などが重なるため、市民レベルでも高度な通信認識能力が必要になります。

TRCCは無線の扱いそのものよりも、
「どう伝えるか・どう受け取るか・どうチームとして成立させるか」
を中核に置いた市民向け講座です。

机上に並ぶ簡易無線機と通信プロトコル資料のイメージ
通信技術だけでなく、「会話の型」までセットで学びます。

2:なぜ無線通信教育が必要なのか(Context & Rationale)

日本社会は平時の通信インフラに強く依存しています。しかし、紛災時には以下の問題が発生します。

通信インフラは想定より脆弱

  • 地震・停電・基地局障害で即座に不通となる
  • 人工的妨害・混乱による輻輳も発生する

「伝え方」を知らないことで生じる情報断絶

  • 無線機を使えても、内容が伝わらない
  • 優先順位の低い情報で回線が埋まる
  • パニック状態ではメッセージが意味をなさない

海外では一般的な通信標準が教育されていない

  • ブリーフィング
  • 簡潔話法(Brevity)
  • コールサイン管理
  • 報告体系(SALUTE など)

TRCCはこれらの欠落を補い、平時・災害・紛災のすべてで使える市民通信能力を育成する講習です。

3:基礎教練(Fundamental Training)

基礎フェーズでは、無線の基本操作と、通信の「型」を習得します。

主な内容

  • 無線機の基本操作(送信/受信/チャンネル管理)
  • コールサインと識別
  • 簡潔話法(Brevity)
  • 重要情報の優先順位づけ
  • ノイズ環境での通話調整
  • 慌てないための通信プロトコル

基礎教練の目的は、
「混乱しても、最低限の情報を確実に伝えられる状態をつくる」ことです。

屋内で無線機の基礎操作を学ぶ受講者の様子
基礎フェーズでは、操作と会話の型を反復して身体化します。

4:応用フェーズ(Applied Communication)

応用フェーズでは、実際の紛災環境を模した通信演習を行います。

主な内容

  • チーム通信(バディ/小隊)
  • 情報報告体系(SALUTE/9-Line 等の市民向け再編集版)
  • 移動しながらの通信
  • 雑音・遮蔽物がある環境での送受信
  • 偽情報・錯乱情報の扱い方
  • 「状況を言語で共有する」ための構造化会話

TRCCの最大の特徴は、通信を単なる技術ではなく、
「行動連携の中心」として扱う点にあります。

屋外で移動しながら無線通信を行うバディチームのイメージ
屋外演習では、移動・雑音・遮蔽物を含む環境で通信を維持する訓練を行います。

5:受講条件・実施要項(Requirements)

対象・持ち物

  • 対象者:一般社会人/経験不問
  • 持ち物:筆記用具、屋外演習に適した服装

講習形式・機材

  • 講習形式:ワークショップ/段階コース
  • 使用機材:CPIが用意する簡易無線機(市民向け)

安全規約・申し込み

  • 安全規約:電波法に基づく正規運用の遵守
  • 申し込み方法:CPI Academyページより受付

TRCCは資格取得講習ではありませんが、電波法に抵触しない形で、
実際に「使える通信能力」の習得を目的としています。

6:指導協力団体(Partnership & Supervision)

TRCCは、電波法に基づく正しい無線運用の普及と、市民向け通信教育の質を確保するため、
以下の団体の協力を受けています。

公益財団法人 日本無線協会(Japan Radio Institute)

日本無線協会は、日本国内における無線従事者資格の国家試験実施機関であり、
電波法に基づいた無線運用の適正化・普及を担う公益団体です。

TRCCでは、同協会の監修する以下の内容にもとづき、
法令遵守と安全運用を中心とした指導協力を受けています。

  • 合法的な無線使用の基準
  • 電波の特性と安全運用
  • 市民が扱うべき適正出力の指針
  • 無線従事者制度に関する知識枠組み
日本無線協会のロゴまたはイメージ
公益財団法人 日本無線協会との連携により、法令遵守と安全運用を徹底します。