地図判読講習会。TNMCは、紛災(Conflict-Induced Disaster)において市民が
地形を理解し、正しい道を選び、生きて帰るためのナヴィゲーション能力を学ぶ講習です。
戦術地図・地形図・航空写真を用いて、出口ルートの判断、距離計算、地形読み取りを体系的に習得します。

地形図とコンパス、ペンなど地図判読のための装備
“紙地図による自力ナビ”を、紛災下でも使えるレベルまで引き上げるための講習です。

1:コース概要(Overview)

TNMCは、市街地・山岳・郊外など、紛災時に複雑化する地形環境の中で、
地図を用いて安全な進路を選択するための基礎・応用技術を学ぶ講習です。

GPS依存の現代では軽視されがちですが、紛災では
通信障害・電源不足・デバイス破損が頻発し、
“紙地図による自力ナビ”が最終的な生命線となります。

TNMCでは、軍事地図術を市民向けに再編集した内容を扱い、
誰でも理解できる形で、安全なルート決定能力を育成します。

地形図とマーカーでルートを引いている様子
紙地図を使ったルート決定能力を、段階的に習得します。

2:なぜ地図教育が必要なのか(Context & Rationale)

日本の市民は、地図を「見る」ことはできても、
地形を「読む」こと、戦術的に「使う」ことには慣れていません。
紛災では次の問題が発生します。

危険区域が急速に変わる

  • 通行不能区域の発生
  • 群衆の密集
  • 建物崩落・火災の進行
  • 濁流・冠水で進路が消える

GPSは「壊れやすく・奪われやすく・信用できない」

  • 通信障害による位置情報の断絶
  • 妨害・遮蔽による精度低下
  • バッテリー切れ・デバイス破損

最も強い人は「地形を読める人」

  • 出口ルート・迂回ルートを見抜く力
  • 隠蔽地点・視界の悪い地形の判断
  • 危険地形を避けるための読図スキル

TNMCは、
“地図を読む技術”=“状況を制する技術”
という現実的なスキルを、市民に提供します。

3:基礎教練(Fundamental Training)

基礎段階では、地図を安全に扱うための基本技術を学びます。

主な内容

  • 地形図の読み方(等高線・地物・尾根・谷)
  • 現在地の特定(リロケーション技法)
  • 方位の取り方(磁北・真北の理解)
  • 対象地点までの距離計算(歩測・スケール計算)
  • 安全なルートの選び方(ライン形成の基礎)
  • 地図と現地の照合(マップ・マッチング)

基礎教練の目的は、
「地図を見れば、状況を解像度高く理解できる状態」
をつくることです。

地形図の等高線や尾根・谷を指さしながら説明している様子
等高線・尾根・谷の理解が、安全なライン形成の前提になります。

4:応用フェーズ(Applied Navigation)

応用段階では、実際の紛災シナリオを模した地形判断を行います。

主な内容

  • 脱出ルートの選択(Escape Route Planning)
  • 建物密集地での危険回避
  • 尾根・谷・斜面の利用
  • 遮蔽ライン・死角ラインの判断
  • 夜間・低視界時のチェックポイント設定
  • バディによる地形分担判断(ナビ/観察の役割分担)
  • 迅速な意思決定(“どの道を行くか”の判断プロトコル)

このフェーズの中心は、
「読み取った情報を“行動”に変換する」能力です。

屋外で地図を見ながらルートを検討しているバディチーム
読み取った地形情報を、その場の行動判断に接続していきます。

5:受講条件・実施要項(Requirements)

対象・持ち物・教材

  • 対象者:一般社会人(初心者歓迎)
  • 持ち物:筆記用具、屋外移動が可能な服装
  • 使用教材:CPI特製戦術地図・一般地形図

講習形式

  • 室内講義(基礎理論・地形読解)
  • 屋外演習(読図&移動)
  • シナリオ判断(紛災シミュレーション)

安全規約・申し込み

  • 安全規約:紛災・危険地域での実地活動は行わず、安全な演習環境で実施
  • 申し込み:CPI Academyページより受け付けます

TNMCは軍事訓練ではなく、
“あらゆる人が使える安全行動としての地図術”
を目的としています。

6:指導協力団体(Partnership & Supervision)

TNMCは、地形判断・ナヴィゲーション・戦術行動に関する
高度な知見を有する専門家の協力を受けて構成されています。

戦術地図運用アドバイザー(Navigation Advisor)

アメリカ海軍特殊部隊 SEALs に所属し、
長距離行動・地形判断・生存行動(Survival Movement)に関する実務経験を有する
元SEALs隊員の協力を受けています。

山岳・都市・海岸線など多様な環境での
ルート選定・視界管理・ポジション取り・危険地形の見抜き方
に関する国際的基準を市民向けに再編集し、TNMCのカリキュラムに反映しています。

地図を前にナヴィゲーションについて議論している専門家のイメージ
国際的な地形判断の知見を、市民向けの読図カリキュラムとして再構成しています。